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CONSULTANT



グリーンコンサルタント 緑の総合研究所

樹木医 金田正弘 

樹木の治療

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1. 不定根誘導処置(苫小牧市民文化公園エゾヤマザクラ治療から)

不定根の写真不定根

不定根誘導の処置不定根誘導の処置

 幹病患部に伸びる不定根です。根は土中に伸びるだけのものではありません。時に傷ついた幹、枝から発生します。水ごけ、ピートモス等自然素材を使って不定根を腐朽部に誘導し、幹に変える(幹化)が目的の処置です。不定根誘導は10年前から取組んでいます。現在、効果のほどを観察検証中です

詰めたピートモスをかかえる不定根詰めたピートモスをかかえる不定根
地際盛土後再び幹巻き地際盛土後再び幹巻き

2013年不定根発生状況の変化(2013年11月15日)



 不定根誘導処置4年後の状況です。幹巻きテープが自然にはがれ落ち、露出した不定根は公園管理者に異常と思わせる状況でした。一部は地面に達しています。礫質土を盛土し再び幹巻きをしました。

2. 不定根誘導処置(浦河町西舎長寿桜の治療から)

西舎の長寿桜西舎の長寿桜

不定根誘導処置不定根誘導処置

外科処置後外科処置後

処置2年の不定根処置2年の不定根
長寿桜にさわると長生き?長寿桜にさわると長生き?

(2013年処置患部の状況と5月開花状況)



 幹巻きテープはすぐに破れてしまいます。「長寿桜にさわると長生きする」、町内の高齢者がやってきます。ならば、幹巻きをはずそうと思いました。本来乾燥防止のため、もう少し巻いておきたかったのですが、どうなるでしょう。

3-1. 根系樹勢回復処置(浦河町西舎桜並木の治療から)

施工前施工前
穴あけ作業穴あけ作業
施肥状況施肥状況

 西舎桜並木2年目の取り組みは根系樹勢回復処置(肥料やり)です。7~9月の暑い時期は、過酷な作業といえます。


 根周辺の人力抜根除草は、かな棒での穴あけ(15~20cm)、肥料を入れる、単純作業のくり返しです。来年の花芽形成に役立つ処置は体力との勝負です。




根系施肥完了

3-2. 桜の治療 樹勢回復処置(宏楽園2012年8月)

5月11日満開5月11日満開

 満開のサトザクラ(八重咲き)は人気のある桜の1本で観光客の写真撮影場所になっています。5月11日の開花を見て、咲きすぎでは?と思っていました。

根頭がんしゅ病の切除根頭がんしゅ病の切除

 8月になりましたが、葉が少ししかでていません?枝の伸びもまったくなく異変を感じました!急激に弱ったようです。最初の処置は浮根に発生した根頭がんしゅ病の切除です。

無数の穴あけ無数の穴あけ

 人力の穴ほり、スコップ、かなでこ、アースオーガ等により根系周辺に無数の穴をあけます(つらい作業です)。傷つけた根は切返し、保護剤をぬります。


資材の混合と施用資材の混合と施用

 穴の中(深さ40~50cm)に土壌改良資材を入れます。暑い時期なので肥料分のある資材は使用していません。弱った根系から新しい根の発生を促す処置の実施例です(地味な作業ですが、大切です)。

4. 大径木の処置(幌萌のエゾヤマザクラ治療から)

浦河町西舎百年桜の治療写真1

エゾヤマザクラ巨木の治療エゾヤマザクラ巨木の治療

 室蘭幌萌のエゾヤマザクラは樹高16m、幹周415cm(直径換算1.3m以上)と最大級の桜です(推定樹齢180年)。外科処置はもとより、太枝落下防止支柱、立ち入り禁止外柵の設置、駐車場の整備等大がかりな作業になりました。開花、開葉、紅葉状況の観察、治療後の経過に基づく再処置等長い関わりの始まりです。

足場組立足場組立
クレーン車使用
クレーン車使用クレーン車使用

<足場を組み立て治療実施(2013年4月)>



 登別室蘭を襲った強風は、湿雪を伴って幌萌桜の主幹を折損、掛り枝にする大きな障害になりました。山あいの桜は大型機械作業が困難です。道内で例のない足場を組み人力で処置することになりました。2013年4月4日~8日の作業は、地元の造園家さんの協力で何とか処置することができました。近年温暖化の影響でしょうか、道内の雪も湿雪状態が多発しているように思います。さらなる対策の構築が急務です。


完成完成

5. 庶野の夫婦桜(えりも町庶野のエゾヤマザクラ古木の治療から)

不定根誘導処置(2010年11月)不定根誘導処置(2010年11月)
庶野桜公園の花見(2011年5月18日)庶野桜公園の花見 (2011年5月18日)

 庶野桜公園内にある一本桜で、樹高10m、幹周360cm、推定樹齢300年以上といわれているエゾヤマザクラ(夫婦桜)です。
 過去に大掛かりな外科治療が行われたものの、最近花付きが極端に悪化し、2010年から継続した樹勢回復処置を実施しています。
 日高管内で最古のエゾヤマザクラと思われる夫婦桜を守れるか、我々の真価を問われる貴重な桜です

着工前着工前
ピートモス充填ピートモス充填
不織布の設置不織布の設置

<過去に実施されたウレタン充填部の再処置 2013年6月>



 15年程前に実施された幹のウレタン外科処置部を撤去し、ピートモス充填の再処置を行いました。巨大なウレタンは簡単にとりはずすことができ、処置効果に疑問が残ります。古く20年前は、人工構造物(コンクリート、ウレタン等で塞ぐ)で外科処置を行ってきましたが、現在、自然素材(ピートモス、ミズゴケ等)を使った処置方法に変わっています。当初処置した方に配慮し、似た仕上がりにしています。しかし、処置内容は全く異なるものです。

 ポリプロピレンシートの設置 ポリプロピレンシートの設置

混合土充填混合土充填
完成完成

<西側不定根誘導再処置>



 反対側の幹に行った不定根誘導処置部を観察し、さらに伸長させるためヤシガラマットで仕切り、土のう積みを併用し、誘導再処置を行いました。今後も観察が続きます。

6. 西舎桜並木の治療

(1)(1)(2)(2)(3)(3)(4)(4)

 西舎エゾヤマザクラ幹に実施した不定根誘導処置の手順は①~④のとおりです。ここの並木は、幸にも材部の切削りや整形が全くされていません。大きな傷口や腐朽付近に自然に不定根が出ていました。今回は、これらを補助的に処置して、過度な切削り整形を極力しないようにしました。

浦河町功労馬浦河町功労馬仲良しになったヒシマサル仲良しになったヒシマサル

<浦河町功労馬>



 西舎の桜並木沿いは放牧場になりサラブレッドが放牧されています。厳しい作業の合間、馬達とつかの間のふれあいです。日本ダービー、有馬記念などを制した功労馬がのんびり余生をおくっています。①ダイユウサク、②ニッポーテイオー、③ウイニングチケット、④ヒシマサル、いずれも浦河町のヒーロー馬です。

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